問題はロシアより、むしろアメリカだ
ウクライナ戦争について、メディアで飛び交うさまざまな言説とは異なる新たなる視点。
「こんなことを話すのは、今日が初めてです」
「私はいま、ひじょうに不安を感じている。西洋はこの戦争が進むにつれて、ますます現実から背を向けるようになってきたからだ」
「トッド氏の視点は鋭く、私たちに別の視覚を与えてくれます。読者はウクライナでの戦争は、このように見ることも可能だという新たな視座を獲得するでしょう」
世界の頭脳であるフランス人人口学者のエマニュエル・トッド氏と、ジャーナリストの池上彰氏による初対談本。
なぜウクライナ戦争は起きたのか、いまだ終わりの見えない戦争の行方、長らく1強の覇権国家として君臨してきたアメリカの弱体化、それによって多極化、多様化していく世界をどう生きていけばいいのかーー。
G7を含めた西側諸国がもはや少数派となる中で、日本の進むべき道とは?
全3日間にわたる白熱対談!
目次
はじめに
エマニュエル・トッド
第1章
ウクライナ戦争の原因とジャーナリストの責任
- どうしてアメリカが戦争に向かわせたか
- バルト3国からウクライナまで不安定な地域圏
- 「最大の責任はアメリカ」 まず日本で発言した理由
- なぜメディアはロシア嫌いなのか
- みなそろって好戦的な報道機関
第2章
終わらない戦争
- 第三次世界大戦はもう始まっている
- ポーランドのロシアに対する憎しみ
- 好戦的になりつつあるバルト3国と米英
- 仲介案を出した中国の真の目的
- ロシアと中国は戦争継続に意義がある
第3章
無意識化の対立と「無」への恐怖
- 世界ではLGBTについて保守的な傾向の国が多い
- 忘れ去られるかもしれないネオフェミニズム
- 戦争を見ていくうえで重要な人類学的側面
- ロシアがしていることはアメリカがしてきたこと
- 民主主義や自由を守る戦いではない
第4章
アメリカの没落
- NATOの兵器供与が戦争を長引かせているのか
- ウクライナ戦争の五つのファクター
- アメリカはドイツにも戦争をしかけている
- 岸田文雄首相のキーウ電撃訪問に疑問
- ヨーロッパ人は現実を直視していない
第5章
多様化していく世界と我々
- アメリカが崩壊したら日本はどうするべきか
- グローバルサウスはむしろロシアに近い
- みんなが負ける負け戦が続く
- 世界が多様化しても不安定とは限らない
ロシアはもちろん悪いのだが―あとがきに代えて
池上彰
年表
ウクライナ戦争をめぐる動き
著者紹介
エマニュエル・トッド
歴史人口学者・家族人類学者。1951年、フランス生まれ。家族構成や人口動態などのデータで社会を分析し、ソ連崩壊などを予見。
池上彰
ジャーナリスト。1950年、長野県生まれ。NHKの記者やキャスターを経て、フリーに。名城大学教授、東京工業大学特命教授。
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